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シグマ第8号1956年(昭和31年)発行
巻頭のことば 若人よ聡明なれ 会長 山本利雄
 わが建築科はここに第七回目の卒業生34名を世に送る。新卒業生諸君お目出度う。在校生一同心からお祝い申し上げる。
 世に建築不況の声をきく。実際、就職についてはお互いに教官生徒諸君と共に、今年ほど苦しんだことはなかった。この面からだけ見る時我々は暗い幻影におそはれた。だが、それは建築業界が不振であったからで、私の見るところ、「建築」は「建築界」は近年にない新々発展の様相を示し。一般の建築への関心と支持は生々向上している。
 ここに於いて、諸君、新卒業生、在校生に心から卒業を祝い、建築を学ぶことを喜ぶ。他の分野と同じく科学分野、芸術分野の技術としての「建築」が今日程、青春時代を築いていることはあるまい。諸君は希望をもてる。未来を信ずることが出来ると私は諸君に期待し喜びを捧げる。少なくとも工芸建築科の卒業生、在校生はこの大きな視野に立って前進されたい。
 ・・・・中略・・・・
 アジア、インド諸民族の覚醒と植民地的存在からの脱皮、中国の新しい変革、科学技術の平和への原子力の解放、世界青年が情熱をもつて献身して勝ち得た古い価値体系の世界から転換させた-この新しい時代は「若き思想」「青年の知恵」が築いたのだ。建築技術-聡明な「青年」建築家の作品で日本の国土が改まりつつある姿を諸君は見ている。技術革命が街を改造しつつある。科学され、考えられ、大きな視野のもとで生み出された「建築」を諸君は本気で見、目で捉えている筈だ。形式に拘泥し、権威と考えていた古い価値体系が、若い新しい自由なそして大きな世界観に立った価値体系にとつて代わった。
 建築は社会の鏡という正に若人の築いた世界が諸君の学びつつある世界の上にも表れ、それを諸君が感得されつつあるであろう。一時の暗々幻想をこの清新の若さで克復し、新しい変化する状件に対応するだけの知恵を養い勉強し、「聡明」所謂「青年の聡明」さを以てこの時代の全体的な展望をし、その意義を正しく捉え、自己を育てよ。青年よ聡明なれ。若人よ見識を持て。
 工芸建築科に育まれた諸君よ。聡明さを磨くことにつとめよ。太陽は彼方に輝いている。
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