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明日よりFBにて、シグマ第7号1955年(昭和30年)発行を掲載いたします。
その中の一部抜粋にて掲載

 
文化人になってほしい 武蔵工大教授 蔵田 周忠 ページ5
 今この机の上に「工芸新聞」の第33号の第1頁が開いてある。
「建築、美術両科の夢ここに実現」と大きく見出しが見える。「新校舎
落成式盛大に挙行」された時の喜しい記念の諸君の母校の新聞である。
 「白聖の殿堂から人材出でよ」と書かれた篠原校長の言葉は諸君よく
読み返されたことと思う。ほんとにこの喜しい今日を実現させるための
御苦労の並々ならぬものであったのをお察しして、その切々のお言葉に
私も同感するのである。山本先生も全く喜びに満ちて
しかも「待望のわが家」の将来に望みをかけておられる。皆さんは苦労
されたことをお察ししてその喜びに心からの同感を送る、と同時に、
やはりわれわれの先輩となると何か一言Σの諸君にも言うようになるのは
年の順として許して下さい。同じ『工芸新聞』のその第1面に「新校舎は
ゴム靴使用」とある。私も同感。
 清潔なゴム靴をはいて、諸君勉強に励んで下さい。特に制図(従来の
製ではなく今後は京大の元良勲先生の提唱通り制にしてゆきたい)これは
特にほこりっぽい室での作業であってはならない、廊下も教室も制図室も
実験室も、すべて清潔で整頓された室であるのが本来なのである。
 とかくバラックに長年住ついていたり、文化度の低い人達は、自分の
生活環境の不整頓や混雑にまひしているか、或いは全然無頓着に過ごして
いることが多い。経済的な事情などでどうにもやむを得ない場合もあるが、
諸君の母校の新館をちょっと見せてもらった感じから言うと、ほんとうに
皆ゴム靴を新調して、校舎全体の清潔と整頓を保つことに心をつけて
いただくのは当然だと思われる。
 各人の身なりと同じで、ぜいたくな必要は更にないが、清潔と整頓による
身だしなみは、生活環境の清潔整頓と相通じた文化人のセンスの表れである。
このセンスこそ貴い。このセンスの行きわたる所に、知識の整然たる摂取があり。
透徹した設計、制図も創作される。更に立派な住宅もビルディングも建設され、
秩序ある都市も、そして国家も出来上がるのである。新校舎でゴム靴を
はく心をよくよく味わい、その効果を考えつつ、皆立派な文化人になって
ほしいものである。(1954.11)
 
(蔵田 周忠(くらた ちかただ、1895年2月26日 - 1966年3月7日)は
日本の建築家。分離派建築会に参加し、建築史関係の著作が多い。
また、東京高等工芸学校、武蔵工業大学で後進を指導した。
新校舎とは、前年に3号館南側が竣工した。)
 
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