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シグマ第6号1954年発行
巻頭のことば 会長 山本利雄 抜粋 ページ5~6
 
 今日のしぐまの諸君は幸福である。「愛」に近い設備とわづか1,2名
の教官とで寒い製図室で師弟お互いの愛情だけをたよりに寄りそい、
助け合って歯をくいしばって育てて来たわが建築科、わがしぐま
であったのだ。そこに自然に生まれたのがしぐま精神であり根性なのだ。
苦しさの連続の中で未来の歓喜のために泣き泣き烏口を握ったのだ。
深夜の火の気のない教室で鉛筆を走らせたのだ。終電車に雪道を
ふんで急ぎ帰り行く素朴な第一期、第二期生の姿が瞼にうかぶ。
これだから13号台風中にコンクリートタワーの頂上で作業を捨てない
男も生まれた。現場がすんでから大学でなく夜間の高校建築科に再び
お習いにかけつける人も出た。毎日富士山の雄姿を仰ぎこれを目ざし
てその山麓の現場で掃除と風呂焚ばかりの一年間身を挺した人も出た。
一流事務所で、しぐま出の若僧の図面が最高成績であり、卒業一年
以内にも不拘四階建コンクリートの構造計算をまかされ一人でやり
おうせた人間も現れた・・・・「感謝する」ことを知り。「つくす」ことを
やり通し、そして「歓喜」を味わいつつある人達だ。これらは今日では
やや創設時の異能的所産であろう。
 しかし、この根性この真実は不変であると信ずる。すべて単にパンや
目先の利益にのみ仕事をする精神でなく「自己の歓喜」のために仕事を
した人達である。「彼方の」或は「大きな」「歓喜」を味到せんとした先輩
である。
 こうした人達の築いた今日の「工芸パラダイス」なのだ。この築かれた
幸福の上で今日諸君は甘い夢や小さな又はけちな満足に酔っては
全くもってもったいない。
 諸君つくせ!更に大きな幸福、高いパラダイスを築こう。
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